狂言ござる乃座　in　NAGOYA　11ｔｈ

平成20年9月14日(日) 14時開演　　於：名古屋能楽堂　　



【番組】
　　　　　　
◆『鬼瓦』
　　　大名:野村万作　太郎冠者:竹山悠樹

◆『泣尼』
　　　僧:野村萬斎　尼:石田幸雄　施主:野村万之介　　　　　　

◆『首引』
　　　親鬼:野村萬斎　鎮西八郎為朝:深田博治　姫鬼:高野和憲
　　　鬼:月崎晴夫・竹山悠樹・中村修一・時田光洋・岡聡史



※『鬼瓦』

万作さんの大名がお堂を見ながらその造りに感心していく様は、本当にそこにお堂が見
えるようです。「田舎では名工がいないので、こんなお堂は造れないな」と言いながらも
そのことを悔しく思うこともなく、今を楽しんでいる大名の大らかさがほのぼのとした気分
にさせてくれます。太郎冠者の竹山君も微笑んで、主と一緒に喜んでいる気持ちが伝わ
ってきます。竹山君柔らかい表情が出せるようになりましたね（偉そう〜・汗）。最後の二
人で笑って留めるところも、見ている人の気持ちを暖かくさせてくれました。他の狂言で
は醜い女はお呼びでない(笑)ですが、この狂言では顔は醜い妻だけれど、大切に思う
大名に拍手を送りたくなります。


※『泣尼』

前回見た時は若旦那僧、石田尼に完全に主導権を握られていたように感じましたが、今
回は説法をしながら尼の様子を伺い、咳をしたり大きな声を出したりするタイミングが尼
の動きにぴったりはまり面白かったです。プログラムの挨拶文でこの僧を演じるのにちょ
うどよい年齢になった…と述べられていますが、私はもう少しえげつない感じでもいいの
ではと思いました。それにしても、ちっとも泣かないのに、お金を取ろうとする尼に追いか
けられる僧は、何か弱味でも握られているのでしょうか？？？　　


※『首引』

先日函館で見た時は姫鬼が石田さんでしたが、今回は期待の高のん姫鬼♪やっぱり可
愛い〜☆深たんの為朝にいたぶられて、橋掛に駆け込むところなどはまるで女の子
（笑）。トコトン親バカの親鬼若旦那と、この三人の組合せが一番面白いです。函館では
舞台の床の問題からか飛び返りを控えた若旦那も、今回は舞も大きく、飛び返りも見事
に決めてくれました。ただ、函館ではみんなで唱和したエイサラサが楽しかったので、今
回、声をあげられなかったのが淋しかったです。これが普通なのですが…（苦笑）。