市川　狂言の夕べ

2009年9月30日（水）18：30〜　於：市川市文化会館小ホール



30日に行って参りました！奈良公演の翌日夜に千葉の市川（といっても東京のすぐ隣ですが）で
すから大変ですね（汗）。でも、解説の若旦那は舌好調でした(笑)。今回開演前に狂言への質問
を受付たらしく（私はギリギリに着いたので知らなかった・泣）、解説の最後に回答していました。
　　　　　　　　　　
まず、風邪を引かないように嗽い、手洗いをして、咳やくしゃみが出たらマスクをして人に移さな
い…なんて話をしたのは、どうやら先日の能楽堂の喧嘩の話を言いたかったようでした。あちこ
ちのブログで話題になっていましたが、原因は客の一人がくしゃみを連発したのに注意した人が
いて、それに相手が腹を立てて喧嘩になったらしいです。大人気がない喧嘩ですね、と申してお
りました(苦笑)。

また、マスク姿は日本では違和感がありませんが、ローマでは《手術を途中で抜け出してきたの
か〜》と言うくらい怪しい人に見えます。と、さりげなくローマ公演ネタも間に入れていました(爆)。

舞台空間の使い方を工夫して、役をそれらしく見せている話もしてくれました。大名は大きく見せ
るため、正先までダーッと走り出て来て名乗りをする。果報者も大きく見せるため、橋掛りの表欄
干側を歩く。狂った人は裏欄干側を歩くなど。

『文相撲』は人を新しく雇う話です。今のご時世では羨ましい話です。新しく雇う者は相撲が得意
なので、相撲を取ることになり、大名は家にある相撲の書を見て取ることになります。相撲の書
…つまり現在のマニュアル本で、これはマニュアルを風刺しています。
　　　　　　　　　　　
『釣針』…歌舞伎や文楽では『釣女』として演じられていますが、こちらが元になっています。能
楽は600年（歴史が）、歌舞伎、文楽は300年ですから…。（と、ちょっと自慢気・笑）今日は70を
過ぎた叔父が主をやりますが、「未だ定まる妻がない」と言います。定まらない妻ってどういうの
でしょうねぇ（大笑）。（何故か嬉しそう）妻が欲しいと恵比寿さんにお願いします。恵比寿さんが
分からない人は、帰りにコンビニに寄ってエビスビールのラベルを見て下さい。烏帽子を被り、鯛
を抱えています。妻を釣ると言う発想もひどいですが、家に帰ってどこで釣るのかも明らかであり
ません。そういうことを気にしていると、狂言は楽しめませんから、気にしないように〜(爆)。

同じ言葉が何回も出てきて、面白い展開(?)などはないですが、それを歌舞で表現をするところ
が楽しいです。

では、それをやってみましょう♪リピートアフターミーですね♪

「つ〜ろうよ、つ〜ろうよ。ハイ！」「バラバラですねぇ」（…って、この展開では初めての人にはよ
く分からないよ、若旦那〜。それでも健気な観客はマイペースな若旦那の後についていくのでし
た…苦笑）。　　　　

演目の中でこのフレーズが出て来ると、声を出したくなるとおもいます。でも、(劇中)私が言うの
ですが、声は出さないで下さいね。リズムがずれるとやりにくいので、心の中で合わせて下さい。
（あくまでもマイペースな若旦那でした〜）　　　　　　　　　　

◆アンケートへの回答

Ｑ：狂言足袋は何故黄色なのか？

Ａ：昔は鹿の皮を燻して作ったので、その名残でこの色になった。能は江戸式楽として殿様の前
に出るため、白足袋になったが、狂言は庶民のものなので黄色足袋のままになった。

Ｑ：何かトレーニングしていますか？　　　

Ａ：何もしていません。稽古や公演で身体を動かしているだけです。ただ、舞台で笑うことと、お
客様が笑ってくれる、そのエネルギーを貰っていることが、健康にいいのかもしれませんね。
　　　　　　　　　　
Ｑ：汗で濡れた装束はどうしていますか？また装束の柄などは、自分たちで決めますか？

Ａ：洗濯をするわけにはいかないので、年一回虫干しをし、補修なども行います。汗で塩が浮い
た時は、ぬれたタオルで叩いて拭き取ります（ご本人はやったことはあるのでしょうか…笑）。装
束は役柄に合わせて父や私などが選びます。肩衣や素襖の柄で季節を表すこともあります。

Ｑ：子供が鑑賞できる公演はありますか？　

Ａ：夏休みに国立能楽堂などで親子で鑑賞できる公演があります。また、薪能などは野外なので
少しくらい騒いでも、あまり迷惑にならないと思います。


今回は解説が面白かったので、公演の方は感想だけにします。
　　　　　　　　　　
◆『文相撲』　　　　　

初めて高野さんシテで見る大名でしたが、緊張していたのか伸び伸びした感じがなく、大名の大
きさも見えませんでした。新参者の深田さんは、キリリとして戦う前から大名を圧倒していました。
高野さん、頑張れ〜。　　　　　　　　　　　　

◆『釣針』　
　　　　　
萬斎太郎冠者の独壇場！高く飛び上がるところでは、観客席に感嘆の声があがり、思わず《や
ったね☆》と心の中で叫んでおりました(爆)。今回、乙は竹山さんでしたが、大きな面だったため
か、声がクグモってちょっと聞きずらかったのが残念でした。後見で良乍さんのお顔を拝見出来
て嬉しかったです。