第六回　万作・狂言十八選　

2008年8月6日（水）18:30〜　於：函館五稜郭特設舞台



◆解説　野村萬斎

◆『二人袴』　　　
　　親：野村万作　舅：野村万之介　太郎冠者：月崎晴夫　聟：高野和憲
　　後見：竹山悠樹

◆『首引』　　　　
　　親鬼：野村萬斎　鎮西八郎為朝：深田博治　姫鬼：石田幸雄
　　眷属：月崎晴夫・高野和憲・竹山悠樹・時田光洋
　　後見：岡　聡史



飛び回るばぁばは暑さをものともせず(爆)函館へ行って参りました！そして、そのまま宝生
へ〜我ながら凄いスケジュール…とは言え、涼しい函館からいきなり都心の外へ〜地獄じ
ゃ〜（苦）。　　
順不同ですが、思い付くまま感想をば。

パーティーに万作さんも挨拶（だけですが）に見えられてました。万作十八撰なのと、今回
朝日新聞北海道支社創立50周年記念事業だからでしょうか…。
萬斎さんもそうですが、お疲れの様子でした。萬斎さんは生なり色にグレーの縦縞のスー
ツ、白のワイシャツに光沢のある焦げ茶色と白？のネクタイでした。白い靴に白に薄いグ
レーのダイヤ柄の靴下と普通(爆)の格好でした。右頬の吹き出物は健在でした。
某お方よりホテル（会場）でチェックインしようとしたら、萬斎さんだけが30分ほど遅刻してき
たようだと。後で箏の演奏家のブログで『六道輪廻』の打合せをしていたと聞きまして、こ
れだから遅れたのか…と。

パーティーでの話……公園にある野外劇の舞台と、お濠を挟んだ道路上に仮設舞台を組
立てたとのこと。市民野外劇では400人もの出演者がいて舞台と観客席がお濠を挟んで
作られていますが、少人数の狂言には不向きということで新たに舞台を作ったそうです。
野外劇の舞台は木々に囲まれ、照明施設も整っているため演出家萬斎、早速背景に使っ
てました(笑)。青い光はお濠の水に映り、ライトアップされた木々はさながら鏡板の松！首
引では緑と赤の照明と舞台上に何やら模様を浮かび上がらせます。場面の変化にバック
の照明も変化し、赤く木々が燃えるようだったり、緑の細いサーチライトが現れたりで度胆
を抜かれました。照明は知人に希望を出してお願いしたそうですが、完成したものを見ず
に本番に臨み、また面を着けていたので「見ていないんですよ」とのこと。観客の目線が反
れて「あれッ」と思ったと。

照明は綺麗で好評でしたが、狂言の舞台から目が離れてしまうのはどうなのかな…と思
いました。でも、観客の皆さんにはとても集中して見て頂いた、と若旦那も万作さんも喜ん
でおられました。
舞台を道路沿いに作ったため、観客席までがとても近く、また場所が狭いためパイプで傾
斜をつけた席になりました。そのため、舞台からは観客の足ばかりが見え、客席がのし掛
かるようだったと……(苦笑)。質問に答えるコーナーでは国盗人の再演は来年12月、海外
公演も考えていると。わが魂は蜷川さんの作品なので…とことわって、菊之助さんと(自分
の)スケジュール調整が難しいでしょう。と、暗に再演のないことを匂わせていました。そし
て、「まだ見ていない方は８日夜、NHK教育テレビの芸術劇場で放映されるので見て下さ
い♪ちょうどオリンピックの開会式とぶつかるので、録画してあとで見て下さい」と謙遜して
ました。

60才の老け役をしたが、顔をしかめてシワを作りそれに沿ってメイクした。シワが戻らない
のでは、とハラハラしたと(笑)映像ではどんな風に映っているか？自分もまだ見ていない
ので〜と不安そうでした。茂山家との共演はしないのか？の質問にはスケジュール調整
が大変なので…と。因みに明日は千三郎さんと共演します(能楽現在形)と。

新作狂言にはどんな作品を考えていますか？…には、作品を作ってくれる方がいないと…
と言い、今は狂言の技法を使ったもの(作品？)に興味があります、と。『六道輪廻』のこと
でしょうか？函館に来る前にも箏演奏家の方と打合せをしてきたようです。全くノンビリ出
来ない方です（汗）。　　　　　　

野外での公演と屋内ではどちらが好きか？との問には、野外は解放感があり気持ち良い
が周りの環境に左右される。ロンドンのグローブ座で『まちがいの狂言』の公演をした時、
空港がそばにあるため、飛行音に口パクになった。また最終日にはすぐ傍を流れている河
に身投げがあり、ヘリコプターが停留して酷い目に合った話をしてました（苦笑）。



『解説』

『首引』ではお顔を拝見出来ないため？か、解説は若旦那♪濃淡抹茶色の色紋付き袴姿
の若旦那は涼しげ♪バックが暗いので溶け込まないように選んだと。涼しい函館と違い東
京は地獄のように暑く、おまけに雷と集中豪雨で大変です。自分は嵐を呼ぶ男と言われて
いますが、今日は三日月も綺麗に出て良かったです。朝日新聞函館支社創立記念の公
演ですが…若旦那、北海道支社の間違いだよ〜（苦笑）それに50周年も覚えてないし〜
ハラハラ(-.-;)。

演目『二人袴』と『首引』は、親子（特に子に甘い親）にスポットを当てて選んだと。
より狂言を楽しむために〜と、例によって「エ〜イサラサ、エイサラサ〜」のリピートアフター
ミー♪♪♪皆さんお上手で萬斎さん誉めることしきり(笑)それに力を得たか、野外の解放
感からか本番でも「エ〜イサラサ」の唱和〜でも舞台の雰囲気を壊さず盛り上げていまし
た。初体験でしたが楽しかったです。　　

最後に、テレビで鞍馬天狗を演じたが、ここはその敵の最後の地ということで感慨深いで
す、と結んでました☆


『二人袴』

心配性の万作親と天然ボケの高野婿は良いカップル(笑)です。ちょっと怖そうですが、本
当は人の良い万之介舅に最近嫁が強くなった、とこぼすところなど微笑ましく、観客の笑い
を誘っていました。舅にせがまれての連れ舞も楽しそうでした。ただ、床の滑りが悪くて、
婿の見せ場の《拙い足運び》が大変そうでした。また割いて使う長袴も滑りが悪いせいか
割くまえに一部ほつれてしまいハラハラしました。
　

『首引』

深田為朝は武将らしく堂々として如何にも強そうでした。為朝に散々いたぶられる姫鬼は
人間の娘より可愛い〜かも(爆)ただ、高野姫鬼を見慣れているせいか、高野姫鬼のほう
が愛らしく感じました(石田さんごめんなさい)。親鬼の過保護振りは万作親以上で面の目
尻が下がりっぱなし（笑）。「なまみそ」や「チョメ」が出る度に笑い声が絶えません。あんな
に過保護で鬼として自立出来るのだろうか、と本気で心配してしまいました(爆)。　舞台の
床板は固そうで音が響かず演じる側は大変そうでした。そのせいか、今回親鬼の派手な
飛び返りは見られなくて残念でした。でも、会場全体での「エ〜イサラサ」は近くの盆踊り
の音にも負けず盛上り、楽しい思い出になりました(^O^)


《追加》

暗闇の中の明るい舞台に、大きな蛾が飛んで来てました。いつ誰が退治したのか知れま
せんが、首引の時に萬斎さん死骸に気が付き、深田為朝の白い大口袴に付かないよう、
持っていた棒で然り気無く退かしたとパーティーで言ってました。全然気付きませんでした
(^_^;)。